彼は不倫がバレて転勤、そしてメールでの別れを告げてきた。

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先生との不倫

彼と知り合ったのは、19歳の頃でした。私は大学生になり、中学受験の塾でアルバイトをはじめました。

そこはプロの講師が授業をする塾。

 

たくさんの講師が毎日校舎にいて、私たちアルバイトの学生の仕事は主に教室の清掃、プリント類の整理、子どもの駅までの送り迎えなどで、仕事内容は単純でした。

 

その反面、子どもの教育現場ということから、いつも正しい言葉遣い、礼儀が重視され、また自ら考えてどういう仕事が今必要されているか判断し積極的に動くことを求められます。

 

アルバイトを初めてすぐは仕事にもなれず、また自ら積極的に動けなかったため、自分には向いていないじゃないかと思うときもありました。

 

そんなとき、いつも気にかけてくれたは社員で算数を担当していた講師のN先生でした。

 

校舎には50代の講師が数多くいるのですが、そんな中、N先生は30代でまだ若く、そしてわかりやすい算数の授業をしてくれるということで生徒たちからの人気もある先生です。

 

N先生は、私が準備したプリントが人数通りだったことや、あらかじめ見学者のために数枚多く入れておくなど、些細な仕事ぶりをきちんと褒めてくれ、ありがとうと声をかけてくれました。

 

仕事でミスをしたときも、私を駅まで励ましながら送っててくれて、自分でもほかのアルバイトの子より可愛がってもらっているような気がしていました。

(たぶん他の子よりも仕事ができないから、他の子よりも気にかけて可愛がってくれているのだろうと自分では思っていましたが。)

 

私も子どもたちと同じようにN先生の笑顔が好きでした。いつも新人の私に声をかけてくれる優しい先生だと思っていました。

 

そのうちN先生が、誰よりも遅くまで校舎に残って授業準備をしていること、そして誰よりも早く校舎に来て生徒が来るのを仕事をしながら待っている姿を見るうちに、少しずつ恋愛対象として好きになっていきました。

 

しかし、N先生の左の薬指には結婚指輪がついていて、N先生が結婚していることは誰もが知る周知の事実でした。

そして、N先生の奥さんはN先生と同い年でかなり可愛いという噂がありました。

 

不倫デート+

その後、私は大学三年生になり就活の時期になりました。

 

N先生とは相変わらず仲が良く、また私はバイトのまとめ役のようになっていたため、よく仕事終わりに二人で飲みに行くようになっていました。

話す内容は、今後の授業やクラスの行く末についてや私の就活の相談などです。

 

私は塾のアルバイトの経験から教育業界で働きたいと思うようになっていたので、N先生の話は非常に興味のあるものでした。

 

仕事内容や業界について話を聞くうちに、だんだんお酒がまわりN先生は家庭生活の話をするようになりました。

 

主に奥さんとのすれ違いなどです。

 

共働きで自分は深夜まで仕事のため、ほとんど日常で楽しく会話をする時間がない。

家に帰っても眠っている妻がいるだけで何も癒しがないとのことでした。

 

私は口では、そんなこと言っていないで早く帰らないと奥さんがかわいそうですよと言いながらも、奥さんと冷めきっているというN先生の心情を知ったからには、もっと私と一緒にいて、という気持ちを強く抱くようになってしまいました。

 

そしてついにある時、N先生との関係が決定的に変わる出来事が起きてしまったのです。

 

私が遅くまでバイト先でエントリーシートの仕上げなどをしていたことで、終電を逃してしまいました。

 

エントリーシートの添削に付き合ってくれていたN先生は笑って、こうなったら仕方ないから朝まで飲めるところに行こうと言いました。

N先生は奥さんがいるから家に帰った方がいいと一応言ったのですが、N先生は私を一人にしておけないと譲らず。

 

不倫が始まるとき

近くに始発までやっている居酒屋もないため仕方なく、カラオケで始発まで過ごすことになりました。

しばらく二人で、お酒を飲みながらカラオケで歌って眠けを飛ばしていました。

 

しかし、お酒も入っていたこともあり私は大げさに、出会ったころからずっとよくしてもらって本当に感謝していること、就活の面倒までみてくれてN先生にはいつかきっと恩返しをすることなど、高揚した気分で伝えました。

 

そうして同じような話の流れで、冗談交じりでN先生が大好きとまで伝えてしまったのです。

 

N先生ははじめこそ照れて何ふざけたことを言っているんだと笑っていましたが、私が黙ってしまったのを見て急に真顔になりました。

 

それから俺も本当は……と、つぶやいて、急に近くに座り、すっと私の肩を抱き寄せました。

 

さすがにカラオケですし、その場で事にはいたらなかったものの、次に二人で飲みに行くときは必ずそのあとラブホテルに行く関係になってしまいました。

 

私もこれは絶対に良くないと思いながらも、ずっと積もっていた感情がやっと実を結んだという喜びでいっぱいで、ついつい何度もN先生とラブホテルへ行ってしまいました。

 

ラブホテルではN先生は本当に優しくて、たくさん愛しているという言葉をかけてくれました。

 

毎週月曜と金曜は、私が遅番でN先生も出社している日でした。

 

なので、その曜日のどちらかは必ず一緒に校舎を閉めて飲みに行き、その後ラブホテルへ行く日々が続きました。

 

そのころは冬で受験間近だったこともあり、N先生は奥さんに受験間際で忙しいと言えば、どうとでもなると私には説明し実際そうなっているようでした。

 

また、私の就活相談のことも奥さんに話しているようで、それなら仕方ないからしっかり面倒見てあげて、と奥さんからも言ってもらえたと笑っていました。

ラインを交換することは、お互いしていませんでした。

エントリーシートの添削のためとして、メールアドレスは交換していました

メールアドレスでエントリーシートと加えて、いついつ会えるから、というメモも添付しお互いメールで連絡を取り合っていました。

 

浮気相手とデート

そのうち夜だけでは物足りなくなり、奥さんが仕事の平日の昼間、お互い仕事がなく私は大学がない日に一緒に水族館に行ったり映画を見たりもするようになりました。

 

しかし、それがいけなかったのです。

 

塾に子どもを通わせている保護者から、昼間にN先生が明らかに若い女の子と楽しそうに歩いているの見たという情報が塾の本部へ伝わってしまい、本部からN先生へ直接状況説明を求めることがあったようです。

 

そのころには、ちょうど私は入社時期が近くなり社員研修で忙しい日々を送っていてN先生とも会えない日々が続いていました。

 

N先生からある日、入社おめでとう、新社会人おめでとう、というタイトルのメールがあり最後の添削というタイトルのWordが添付されたメールが届きました。

 

それを開くと別の校舎勤務になり、もう連絡もできないし会えないこと申し訳ないことをしただけど私といて本当に楽しかったことなど、が書かれていました。

 

それ以来、メールの交換もなければ当然会う事もしていません。

 

私が働くようになって忙しくなったこともありますが、N先生のことは本当に大好きだったし感謝しているので、これ以上迷惑をかけることができないという思いでいっぱいだったからです。

 

今、私には同じ会社で違う部署で働く同期の恋人がいます。

 

彼には、むかし私が不倫をしたいことなど口が裂けても言えません。

N先生と彼、どちらの方が好きなのかと言われると、何となく答えることが出来ません。

当然今の彼は大切なのですが、N先生との恋愛は漫画の中のように刺激的で夢物語だったような感覚が今でも残っています。

そしてときどき、今の愛され愛す穏やかな関係に刺激が欲しくなり、N先生のメールアドレスをじっと見つめてしまうのです。

 

(まや 25歳)

 

 

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