私が彼と出会ったのは私が25歳のときです。彼の年齢は38歳でした。彼の家族構成は彼と奥さんと娘さんが一人。
初めて出会ったのは友達が、どうしても来て欲しいというので行ったお食事会です。いろりを囲んで鍋を食べたり、焼き物をしたり、すごく落ち着く和やかなお店で出会いました。
出会った時にLINEで連絡先を交換して、1週間後に2人でごはんを食べに行くことになりました。
行ったごはん屋さんがカウンター席でお酒も入っていたからか、わたしが男性と2人で食事にいくことが久しぶりだったのか、頭がふわふわとしていて、気付いたら横にいる彼の身体に触れてしまっていたり、彼からもそっとわたしの手を包み込むように握ってくれていました。それがとても安心出来るように感じました。
店から出る時も手は握ったままでした。その帰りに、わたしの自宅まで車で送ってもらったのですが、車内でも手は握ったままで家に着いてもなかなか手を離すことが出来ず、その車内でキスをしました。 一応普段ならこんなに軽々しい行動はしないようにしているつもりでしたが、今思うとカウンター席というのが彼をあまりに近くに感じてドキドキするきっかけになったと思います。
実は友達から初めて紹介された時、事前に彼は妻帯者と聞いていました。また、彼と2人でごはんに行った時もさらりと娘の話をしてきたので、奥さん以外は、遊びだというのは話していても伝わってきました。
でも私にはそんなこと大きな問題ではなかったんです。私にも付き合っている彼氏がいました。もう当時で5年くらいたっていて、新鮮味もない彼氏がいたんです。彼氏とのセックスレスも始まり、彼氏というよりも家族のような存在で当時の私は飢えていたんだと思います。
純粋に抱きしめて欲しかったり、求められたりしたかった。
でも彼氏と別れるような勇気もなく、そんな中、奥さんがいる妻帯者の彼は私にはうってつけだった、そんなところです。
純粋に私を抱きしめ、大人な会話、私が知らない世界の話をしてくれたり、頼り甲斐があるところ、私の彼氏には全くない一面、そんなところばかりに目がいって、私は夢中になりました。
彼は単身赴任者でした。ですので、身近に奥さんの気配を感じることがなかったんです。
連絡は基本的にはLINEでしたが、その他のメールアドレスや電話番号も知っていたのでLINE以外で連絡をとることも多々ありました。
彼との距離は車で30分程度、会おうと思えばいつも会うことが出来る距離で多い時は週3日は会っていたと思います。
ただ、彼は単身赴任者です、日曜日には車を走らせ娘のいる自宅に帰るようだったので、会える日は基本的には平日でした。日曜日会えないとはっきり言われたわけではありませんが日曜日に誘われることはなく、私も彼氏の休日が土日だったので、まさにお互いに都合がよかったです。
平日に会うことが多い私達です。定時で仕事を切り上げ、彼が予約してくれたお店でごはんを食べます。そのあとはカフェに場所を移して、コーヒーを飲みながらスイーツを食べ23時くらいまでまったりと過ごします。
そのあとは、ひとり暮らしの私の自宅に彼が泊まっていくか、彼がホテルを予約してくれていたり、また彼は自宅、単身赴任先とは別にさらに別宅を所有していたのでそちらに泊まることが多かったです。
会う時は大抵お泊まり付きだったので、週に3回あっている時は毎日会っているような感覚でもありました。
彼は単身赴任者です、仕事だと言えばなんとでもなったのでしょうか?
クリスマスは私と初めて会った事を大事にしたいと、初めて出会ったお店で食事を予約してくれ、そのあと温泉付き旅館に泊まりました。
私の誕生日は、彼から一眼レフカメラをプレゼントされました。彼の趣味が写真を撮ることで私と一緒に写真を撮りに行きたいと言ってくれ、彼が選んでくれたおすすめのカメラをプレゼントしてくれました。私は趣味がなかったですし、カメラにもそれまでは全く興味がなかったのですごく嬉しかった事をいまでも覚えています。
彼は医者でした。金銭的に余裕があったんでしょう、毎回素敵なホテルに泊めてくれたし、素敵なお店でのお食事でした。
奥さんがいることなんてまったく気にならなかったし、いいものを食べさせてくれ、いいところに泊めてくれる、そんな存在でした。
むしろ彼が私を愛人にしてくれてラッキーくらいに思っていました。
彼は、日曜日は自宅に帰ることだけ、気をつけていたようです。 でもやはり、日曜日は会えないというのは私からするととてもつまらなく、土曜日に会って泊まって日曜日の早朝に彼が帰って行く時に、最後にハグをして彼の服にそっとファンデーションをつけたときがありました。
その数日後、彼は笑いながら奥さんに怒られたよ~と話してきました、土下座して謝ったら余裕だったと。彼と奥さんの関係はそんな感じなんだなと思ったのと、やはりこれだけ泊まったり、自由に遊んでいるけれど、奥さんも彼に興味がないわけではないんだなと思いました。
彼の学会発表について地方にいくことも多々ありましたが、やはり私は愛人なので一切彼の周知している人達の前にでることができないことが嫌で仕方ありませんでした、
今考えたら当たり前のことですが。彼と堂々と会えるのは知らない人達の中だけ、彼の職場近くのお店は一切食べに連れて行ってもらえなかったですし、彼の話でよく出てくる上司や部下に会うことも出来ないし、それがつまらなかったです。
奥さんや子供に感じることは一切何もなかったです。彼は、家庭を大事にしているみたいでした。ゴールデンウィークと夏休みだけは大型連休をとって、海外や沖縄などへ長期旅行へ行っていたし、子供の写真見せてとお願いすると喜んで見せてくれていたので子供ともうまくいっているんだな、それならそれで微笑ましいなと思っていました。
彼の家族をこの目で見たことがなかったので実感がありません。
ただ、少しずつ気になっていたことは、彼の愛人は私だけではなかったことです。彼と泊まる施設は彼御用達のようで、いつも御贔屓にして下さり、ありがとうございます。とホテルマンがいつも言っていました、もちろん私は初めて行くところです。
1度、ホテルマンが彼にもう少し小柄な女性と来られていましたよね、その時、忘れ物をされていましたよ、と話して来てとき確信しました。
彼には奥さん、私以外にも女がいると。 だから、奥さんから慰謝料請求されても、「相手は私ではない」と言えばいいし、他にも女がいるのだから慰謝料も一人当たりは少なくなるよね、と呑気に構えてました。
それに、彼は医者でした、慰謝料請求などして、もめたりすると名前に傷が付くし、奥さんも別れる気はないだろう、だから慰謝料請求なんてしてこないように感じていました。 だから、適当に言い逃れすればいいやと思っていたので謝罪を求められてもするつもりもなかったです。
彼とは、私が結婚、妊娠を機に別れました。付き合いも一年を越えると、マンネリ化してきますし、私は奥さんよりも他の女が嫌で仕方ありませんでした。
そのうち、いろんな女に手を出している彼を気持ち悪く感じるようになり、さえない平凡な彼氏が1番だ、安心を与えてくれる、いつでも私だけを必要としてくれる彼氏が1番だと思うようになり、自然と彼が連絡してきても返事を返さないことが多くなり、自然消滅に近い形で終わりました。
ただ、彼は私が知らなかった写真を撮ることの楽しさを教えてくれたり、高級レストラン、ホテルで楽しませてくれたりと今でも楽しかったなといい思い出になっています。
(のあ 27歳)