浮気相手の私は、彼の遊び相手でしかなかった。

〔広告〕

child

私の「若かった」ころの過ちです。

 

奥さまにも、神さまにも悪いことをしたと思っています。

 

私が彼と出会ったのは、本当はとても幼いころ。

 

私が小学生1、2年のころで、彼はいわゆる「近所のお兄ちゃん」。彼は中学1年生だったと思います。「ちびまるこちゃん」のキャラクターの「大野君」に似ている、当時の私には手の届かないような、かっこいい「近所のお兄ちゃん」でした。

 

私も小中高大学、と人並みに恋愛をしてきて、彼氏もいて、充実した生活を送っていました。

 

彼とは接点もなく、ふだんの生活においては彼のことなど忘れていました。

 

でも、やっぱり思い出は美化されるというのはよく言ったもので、ふと思い出す「近所のお兄ちゃん」は誰よりもかっこよくてやさしいお兄ちゃんでした。

 

私が大学4年生だったときは、就活低迷期でした。

 

何社も応募し何社も面接をしても、不採用の毎日。

 

自分の顔が映った履歴書が返送されたとき、不採用の通知が来たとき、私はこの世に不要な人物なんだなぁなんて、誰にも必要とされていないんだなぁなんて、悲劇のヒロインのように思っていました。

 

そのとき付き合っていた同じ大学の彼氏とは、私がこのように精神不安定すぎて、次第に寄りつかなくなってしまい音信不通になりました。

 

本当は同じ就活生同士支えあって励ましあうべきなのに…私は彼氏を支えることはできないのに、支えてもらいたいとしか思っていませんでいた。

 

「なんで誰も私を助けてくれないの?」私の人生でこの時が一番弱く、もろかったと思います。

 

不倫出会い

そんな私を見かねた地元の友人が、私を地元のお祭りに誘ってくれました。

 

友人の父親は神輿を担ぐ人で、神輿担ぎの若い人たちを束ねる立場にいました。

 

「お祭りが終わった後、みんなで飲み会もするからおいでよ」友人なりのやさしさがとてもうれしくて、地元のお祭りなんてあまり興味なかったけれど、友人に合わせて浴衣をきて、久々に就活以外のことを考えました。

 

夏も終盤の時期のお祭りなので、肌寒かったのを覚えています。

 

結局お祭りを楽しんでしまい、飲み会には参加できませんでしたが、二次会のカラオケに友人が誘われたので私もついていきました。

 

それが私の秘密の恋愛の始まりだとは思ってもいませんでしたが、かっこいい人がいたらいいなーなんて軽い気持ちでした。

 

二次会のカラオケでは、若手のみの参加。ずっと地元にいて、幼いころから友人なんだろうなという男性ばかり。

 

みなさん一次会でお酒が入っていることもありとてもノリが良かったのを覚えています。

 

女性は少なかったので珍しがられ、でも友人の父親を皆知っていたので「手なんか出せないなー」なんて言いながら笑ったり。とても楽しかったです。

 

数時間たった後、実はカラオケは二部屋だったということがわかりました。「となりの部屋も行ってみようか」友人に連れられもう一つの部屋に行ってみました。

 

そこに彼がいました。 「近所のお兄ちゃん」だった彼の記憶が、一瞬にしてブラッシュアップされ、数秒動けませんでした。頭の中で何年ぶり?と自問し、10年ぶりくらい?と自答しました。

 

10年も経つと大体の人は変わっているはずなのに、彼は幼いころの面影を残したまま、そのまま成長していて、しかも私のことを覚えていました。

 

それがすごくうれしくて。私が彼の記憶の一部として保存されていたことがうれしくて、何だか自分が成長していないみたいで恥ずかしくて。

 

こんなドラマティックなことがあっていいの?私の体温は一気に上昇して、心臓が破裂するかと思いました。

 

でも、違うところもありました。 私を呼んで左手を挙げたとき、薬指に指輪がはめてありました。

 

指輪チェック。女性の性だと思いますが、この時ばかりは見なければよかったなあなんて思いました。

 

私も飲んでいて気分もよかったので、彼のとなりに座り少し話しました。

 

話せば話すほど、彼が魅力的に見えてかっこよく見えて…おかしくなってしまいそうでした。

 

二次会が終了しそうなとき、「左手の薬指に指輪しているからって結婚してるわけでもない」と自分を思い込ませ、アドレスを交換しました。

 

彼は少し戸惑っていましたが…交換してくれました。

 

浮気相手メール

家に帰って、彼氏でもできたかのように私は喜び、ベッドの上で寝っころがりながら彼にメールをしたことをよく覚えています。

 

でも短い文章で、何度も書き直して、精一杯書いて。少し震える手で送信ボタンを押して。返信が来たときはすごくうれしかったです。

 

「あぁ、好きな人なんだな」と確信しました。彼が結婚しているかどうかは知りたくなかったので聞きませんでした。

 

彼との距離を詰めたい。もっと近づきたい。彼のとなりにいたい。私の思いはそれだけでした。

 

「就活の相談」ということで、何度も一緒にご飯を食べに行きました。今思えば、彼にも下心があったとは思います。

 

 彼は26歳、「若いお父さん」になりたかったみたいで、結婚1年目だそう。奥さまがいて、まだ子どもはいない。そう言っていました。

 

でも私には関係ありませんでした。

 

「少し早く結婚しすぎたかな…もっと遊んでいればよかった」私はここの部分だけちゃんと聞いていました。  

 

私にとっての彼は、もう「近所のお兄ちゃん」ではなく、「彼氏にしたい男性」でした。  

 

不倫家デート

基本的には、彼の仕事終わりに食事デートすることが多かったです。

 

奥さまはフルタイムで働いており、あまり料理が得意ではないと、ふと不満を漏らしたことがありました。だから今までも週3くらいで仕事と称し一人で外食をしていたそうです。

 

そういうこともしっかりと聞いていた私は、一人暮らしだった自分の家に彼を招待して得意な手料理を披露しました。

 

いつしか彼も私も、そんな二重生活が「普通」になりました。

 

クリスマスはイブを一緒に過ごしました。クリスマスは奥さまと。そのとき、勝った気がしました。「私にイブをくれた」少しのことで優越感を得たのです。

 

奥さまと別れてほしい。私はいつもそう思っていました。でも彼はその件に関しては消極的でした。

 

どうして別れてくれないの?ヒステリックに詰め寄ると、年明け以降、どんどんと彼の足は私から遠のいていきました。

 

「妻に子どもができたので、もう会うのはやめよう」 そういわれたのは、入社前の3月でした。

 

なんなの?どういうことなの?私は混乱しました。駅前で泣き崩れました。ひどい!ひどい!彼をなじったことしか覚えていません。

 

「奥さまに会わせて!」そう言ったとき、彼は「正気か?」と言いました。

 

その時の冷たい顔は鮮明に今でも覚えています。

 

彼にとって、私は遊びで「少し早く結婚しすぎたから、ちょっと遊んだだけ」程度でした。それがその態度でよくわかりました。

 

あんなにも「普通」だった二重生活。そう思っていたのは私だけでした。

 

悲しくて空しくて、つらくてつらくて。まさかこんな結果が待っているとは思いませんでした。

 

数か月はその気持ちが冷めやらなくて、次の恋!なんて思えなかったです。

 

反省しています。今思えば本当に悪いことをしました。 でも、後悔はしていません。

 

だって憧れの「近所のお兄ちゃん」を一瞬でも手に入れることができたのですから

 

(みゆ 36歳)

 

 

目次