春香と申します。
彼と関係を持ったのは、私が23歳、彼が24歳のときです。彼は新婚で子供はいませんでした。
私と彼は会社の同期で、初めて互いの存在をきちんと認識したのは会社主催の飲み会です。
そのときから「かっこいい人だなあ」、「話していて気が合うなあ」と思っていましたが、既に彼は婚約中だったので、自分からアプローチしようとは考えていませんでした。6月頃だったと思います。
それからしばらく何もありませんでしたが、10月に事態が動きました。
もともと、共通の友人を含めて3人で食事に行く予定でしたが、その友人が急遽来られなくなり、彼と2人で食事に行くことになったのです。
最初は友達同士のノリで楽しく話していました。
しかし、お酒が進むにつれ、彼が口説きモードに入っていきました。「入社式のときから可愛いと思っていた」、「嫁がいなかったら話は違った」などと言われ、私も悪い気はしませんでした。
心のどこかで、彼から口説かれることを期待していたのかもしれません。(当時、彼は奥さんと入籍したばかりで、まだ奥さんは彼の地元の地方都市にいました。)
それから、週に一度くらいのペースで食事に行ったり彼の家に遊びに行ったりするようになりました。
同じ会社とはいえ、全く別の部署で働いているので、職場で顔を合わせることはありません。
会いたくなったら、お互いにLINEか電話でコンタクトを取ります。
デートの場所はたいてい居酒屋か彼の家です。私の家に入れたことはありません。
私も彼も良く喋る方なので、居酒屋で4、5時間話した後、話し足りなくて彼の家へ行く、という流れが多いです。
ときどき、カラオケに行ったり、私の友人が勤めているバーに遊びに行くこともあります。
彼と付き合っていて幸せだなと思うことは、私への好意をきちんと表現してくれるところです。
彼は「かわいい」、「好き」、「惚れてる」といった、女性が欲しがる言葉を惜しみなく与えてくれます。
私は人から「しっかりしている」、「スキがないから近寄りがたい」と言われることが多いです。
でも、彼は「春香ちゃんの、芯が強いけど実は結構もろいところ、そういうギャップがかわいくてしょうがない」と言ってくれます。
彼に「かわいい」と言われながら、髪を撫でられている時間が一番幸せです。
彼に対して不満に思うところは、奥さんの話を平気でするところです。
彼の家にお邪魔してご飯を御馳走になったとき、「これは嫁の実家から送られてきて…」と、奥さんの実家から届いたお惣菜を出されました。
奥さんといるときは奥さんのことを、私といるときには私のことを考えてほしいので、無神経な人だなと腹立たしく思いました。
正直、そのお惣菜を口にしたいとは思えませんでしたが、頑張って食べました。
クリスマスなどのイベントは基本的にスルーしていましたが、バレンタインだけは渡しました。と言っても、当日は都合が悪かったので、1月下旬に会ったときにあげました。彼はもらえると思っていなかったようで、とても驚いていました。
彼はいつも飲食費を支払ってくれるので、良いお礼になったと思います。
いよいよ、2月初旬に彼の奥さんがこちらに来ることになったので、最後に彼の家でお泊りデートをしました。ちょうど、彼の挙式一週間前の週末のことです。
それまで、彼とはプラトニックな関係を続けていましたが、この日ついにキスをしてしまいました。
彼と1つのベッドで寝ているとき、「春香ちゃんは会社の同期だし、俺には嫁がいるから我慢していたけど、キスしたい」と言われ、抵抗できませんでした。
キスの合間に何度も「好き」と言われ、どうしようもなく嬉しかったです。
彼は服の上から胸を触ったり、耳に舌を入れてきたりしましたが、私は「最後まではできない。ごめんね」と断りました。
彼とセックスしたくないわけではなく、彼の口の軽さを危惧してのことです。彼は酔うと何でも話してしまうので、もし彼とセックスしたら会社中に知られてしまうだろうと判断したのでした。
翌日は何事もなかったかのようにご飯を食べたりテレビを見たりして、あっさり別れました。
私はそれとなく「もう会えなくなるね、寂しくなるなあ」と言ってみたのですが、彼は「これが最後になるかはわからない」とお茶を濁したので、この関係が終わったのかどうか、いまだにはっきりしていません。
彼はとてもキスが上手だったので、私としてはできればキスフレになってほしいです。
でも、小さく閉鎖的な町なので、秘密の関係を続けるのは容易ではないということもわかっています。
キスまでの関係なので、奥さんにばれたところで慰謝料を請求されるとは思っていません。
また、彼に「離婚してくれ」などと迫ったこともないので、奥さんに対して申し訳ないという気持ちもあまり起きません。
ただ、もし万一奥さんにばれて慰謝料を請求されたら、支払おうと思います。その際には転職するつもりです。
彼とこうした関係になった背景には、当時の私の職場環境も大きく関わっていると思います。
当時の直属の上司は、若手社員へのパワハラがひどく、私たちはしょっちゅう出来損ないだの頭が悪いだの言われていました。
そんな荒んだ環境で、自分をちやほやしてくれる素敵な男性を求めることは、ごく自然なことではないでしょうか。
幸い、彼と疎遠になった直後、パワハラ上司の異動が決まりました。
現在、彼と連絡を取ることはなく、新しい彼氏もいませんが、その必要がないほど穏やかな生活を送っています。
彼との交際は、良い思い出です。
彼はルックスが良く、話し上手で、さらに仕事熱心でもあり、まるで欠点のない人でした。また、彼は学生時代にホストのアルバイトをしていたと言っていたので、女性を喜ばせることなど朝飯前でしょう。
そんな彼との思い出は、どこを切り抜いても甘ったるく、幸福感に満ちています。
彼にまた会いたいと思い、切ない気持ちになることもありますが、彼に対して恨みつらみは全くありません。
あんな素晴らしい人が自分に好意を寄せてくれたこと自体が夢のようです。
もし、2人でゆっくり話す機会があれば、「ありがとう」と伝えたいです。